留学中の勉強相談 チュートリアル
イギリスの教育システムでは、学生に対して指導教員が3~5名のチームで教育することが多いようです。僕の所属しているファンデーションのコースは、学生 数は20人のクラスが4クラスもある大所帯ですが、4人のコースチューターがいて、好きな先生を担任として選ぶことができます。
担任の先生は基本的に一年間固定するのがよいのですが、それはコースによりけりという感じもあります。
一般的には、学位コース(学部、大学院)の場合は、ほぼ毎週、もしくは2週に一 回くらいのペースでチュートリアルという面談があります。学部は人数が多いので、10人くらいのグループチュートリアルになるそうですが、大学院の場合は マンツーマンです。僕のいるDiplomaコースは、人数が多いということもあり学期ごとにたった1回しかありません。ただし、マンツーマンです。
もっとも、オフィシャルに1回というだけで、個人的に担任にアポをとればいつだって相談可能。この辺は、使うか使わないかは個人次第です。
僕は、前回D先生だったのですが、もう少し建設的な批判をしてくれるA先生に変更しました。なので、また少し簡単なバックグランドの説明をして20分ほどの面談です。
チュートリアルには、コースブックとポートフォリオを持参するのが一般的です。
コースブックは、コースや課外で勉強したことをスクラップしたファイル、ポートフォリオは写真作品になります。
A先生は、50歳くらいのダンディーな先生で人気があって時間割をはみ出して予約している人が出ています。作品レビュー会のときは、いつも手厳しくかなり 辛辣に講評を加えますが、結構まともな批評なんです。このコースの他にも、大学院にもコースを持っているだけあって教育熱心。
この学期まで一ヶ月に一本正式なコースプロジェクトがあります。
先回は、有名人にアポをとってリラックスした姿をポートレイトにおさめるという難題をこなす必要がありました。パパラッチのような狙い撃ちではなく、許可をとるというプロセスが重要なのです。
幸い、友人の紹介でプロのクリケッターを撮影させてもらえて、なかなかのお気に入りショットを提出しました。
A先生のレビューで、光の活かし方ではじめてほめられた気がするけれど、横向きの被写体の背景側にある無意味なブランクをトリミングするともっと主役が引き締まるという助言をえていました。
さっそく、トリミングしてみると確かに。かなり引き締まった感じです。
ということもあったので、今日はこれまでのプロジェクトの作品とレビュー。指摘をされて改善した部分を持って行きました。
あとは、iPadに見せたいものを10枚程度入れて持って行きました。
学校の課題やポートレイト作品については概ね問題なくできている、という評価でした。
やっぱりあれだけ手厳しい先生も大人数相手にしてると感度が鈍るのかなあと思ったので、自分が現在制作しているWEBサイトを開いてDocumentary Photographyの路線でやっていきたいのだけど、イギリスに来てからのものを一連の作品としてみるとなんとも底が浅いのがわかって自分でいかんなあと思っているということを言ってみました。
A先生は丁寧に一枚一枚を見てくれて、都市や人との関わり方や関わった時間の問題が、写真から出ているといいました。
上海時代はなんだかんだ日々、町を丹念に歩いたり、知らない人と話したりしたことを思い出します。会社でも同僚と日々話していたし、市場のことを知るために公開されているデータやトレンドもかなり目を通していました。
またガイドブックでみた町のキラビラやかな方とは違うところに、古くて濃い存在があることを知って驚いたものです。ローカルの事情通しか行かないような訳のわからない建物に入って行ったり、かなり怪しい店にも行きましたね。中国人の友人もいろいろ教えてくれたし。
そういう観点からいうと、イギリスではまだ観光客の域を出ていないような気もします。そういう無意識にできていた情報インプットがこちらではかなり弱体化しているのでしょう。
分析することだ、と言われました。
なぜを自分の作品に向けて発して、迫力を感じるものと感じないもの、一連の作品の裏にあるコンセプトやメッセージの存在を分析してその濃淡がどこから来ているのかを考えながら、作り上げるしか方法はない、と。
そしてできたら月、水はいるから時間を確認してもってきなさい、と。
与えられてこなすプロジェクトは、先週のCelebrity Shootで終了しました。
これからは、自分で設定する段階に入ります。写真というのは、一瞬でとれてしまうので、作品として成熟度が高いものは、その前段階にどれだけ熟慮したか、対象を研究したかという、準備がものをいう気がします。
やっぱり迷ったり、行き詰まったら、チューターと話さないとだめですね。
会社員時代、たいへん尊敬していた上司が、よく「おれと話せよ」と言っていたのを思い出します。とてもクリエイティブで常になにか面白いことを考えている 人だったので、絡んでこいということだったのでしょう。そうそう、先輩社員がチューターとして1年つく制度も会社にありました。ロジックを鍛えられた記憶 が。
これからはもうちょっとトピックについて話す機会を持とうと思います。話すためにネタを搾り出すくらいにしないと。
計画、実行、レビューを自律的にまわしていく段階に入ったので、積極的にやっていきたいです。
先日、町のプロジェクトを研究している知り合いのポートレイトを撮ったり、スポーツ選手を球場で撮ったりしたことで、その人の活躍や生活の場を背景にするDocumentary Portraitなんてのも最近すごく興味を持っているのでひとつ力を入れてやっていこう。
ほんの30分足らずの時間でも、振り返りとこれからを考えられるチューター制度はよいシステムだと思いますね。逆に言うと、会社という組織はそういうこと が日々の業務に散らばっていて大変効果的なレビューを日々していたということを実感しました。離れた今は、自分でどんどんやっていかないと退化する一方で す。気合。
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