My best writing tool /ベストの筆記具
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製品 / products, 日常写真 / snap Product
最近は、パソコンで文章を書く時間を少し減らしています。
その代わりに、紙と万年筆を使う。
かつては、よくこのようにして書いたものですが、知らない間に、デジタルにシフトする。
そのきっかけは何なのかはよくわかりませんが、特にオフィスで資料作りなどしているときは自然とそういう流れになってしまうのでした。
しかし、改めて大学に入学してみると、アートスクールだけあってみんなスケッチブックを持って歩いています。気になることは、その場でささっと描いてメモする、貼り付ける、塗る、切るなどさまざまです。
ときどき、そんな一冊を見せてもらうと、その人の世界が広がっていたりします。なかなか素敵です。やっぱり手で触れることができる、文字が妙に乱れているとか、ポップだとか、デジタルにはない情報もあります。
ちょっと前から、あんまり書くことがなくなってきたなあと思っていたのですが、この基本に戻ってみたら書くことが溢れてきました。
かなりの長文を一時間くらい書き続けるというのも、以前だとパソコンでとなっていましたが、むしろ紙にがりがりと引っ掻きながらインクをにじませるほうがはかどるのです。
たぶん、脳の使われ方も大きく違うと思います。
まず、物理的な振動が伝わってきますし、漢字を思い出すという要素も必要です。
パソコンを使うこととの一番おおきな変化は、紙はどこにもつながっていなくて、自分とだけピュアに向き合ってくれることです。ブログやSNSに書く内容って、ある程度よそ向きでかっこつけてるんです。そしておしゃべりです。
でも、紙の世界にはそんな遠慮は無用。
いくら語りかけても沈黙あるのみ。勝手に誰かに話したりしません。
物語というものが、自分の現実や虚構などちょっと他人には見せられないような超プライバシーに富んだ内容がグツグツと煮こまれて、どろどろに溶けて、再構 築されていくなら、紙というのはよいフィールドです。
そんなこと紙が発明されたときから無意識にされてきたことかもしれませんが、デジタルとネットワーク が進んだ今だから余計思います。
実際、紙にシフトしてみると、ほんとは語りたかった自分の内面のふわふわとした原形みたいなものががたくさんでてきて驚きます。
紙は、モルスキンの手帳が学校のストアで手に入ります。LAMYはもう4年ほど使い続けています。いつもはスケルトンのエクストラファインを持ち歩いています。
この二つはとてもなじむすばらしい製品であり作品です。
思い起こすと、このふたつにはちょっとした個人的なストーリーがあったりします。
昔、好きだった女の子が、電車の中でくれたのがこの手帳でした。手作りのすてきな包装だったのを断片的に覚えています。
インクの色はただ黒ではなくて、乾いていくときに濃紺や黒の間で揺れていくのもいいものなのよ、とも言っていました。
へーっと思って使い始めたのですが、確かに、それまでとは違う感覚でものを書くと言うより刻んでいくという印象を持ったものです。
残念なことにもう彼女とは会うこともなくなって何年も経つけれど、思ったことをひっぱりあげるということの大切な行為と道具を教わった気がします。
まだ30数年しか生きてはいないけれど、人生にはときどきそういったほんの少しのインパクトをくれて、その後の軌道にいくらかの変化をくれるときがあるような気がします。
もっともほとんどそんなことは忘れているけれど、改めてiPhoneや携帯キーボードを一旦しまって、この基本に戻ったときに、少しだけそんなことを思い出したりもしたのでした。
ぼくは少し他人に影響を受けやすいような気がするけど、きっとそんなものですよね?違ったらすいません。。。
で、結局いいたかったことは、手書きはけっこういいですよ、ということでした。
この記事へのコメント
1. Posted by Masabu2011年12月06日 11:36LAMYて良い?万年筆って液が漏れて、かばんやポケットの中身が大惨事になるという悪い印象があるのだけれどもそんなこと無いですか。
紙のジャーナルは良いよね!!メモを取るのが楽しくなります。
また、リンク先のブログに添えられたメッセージに心惹かれました。思いやりにあふれた声と、心のあたたかさが聞こえそうな、ひとつひとつの言葉に、(あ あ、こんなふうにすればいいんだ)と気づきました。「風の旅人」という言葉が気になり、クリックしてみると、濱谷浩さんの写真が目にとびこんできました。 「裏日本」という言葉で、杭を打たれたようでした。近くの図書館の蔵書では見つかりませんでしたが、いつか手に取りたい写真集です。
私は土門拳の写真が好きですが、まだまだ、自分の知らない、写真家がいるのだと思いました。嬉しいです。
濱谷浩さんのことは、まだ、ぜんぜん知らないのですが、吉野弘という詩人を思い出しました。雪のせいかもしれません。
shinさんのおかげで、新しい扉がひらきました。
ありがとうございました。
浜田えみな
ラミーとモルスキンには、ぜんぜん関係のないコメントですみません。
彼女の、インクの話、いいなあと思って読みました。
そんなまなざしをもっている人と、お話してみたいです。
いつのまにやらはじめて8年が経過しようとしていますので、このブログは20代から30代にかけての振り返りの記録帳のようなものになりかけています。
そろそろ収束のタイミングを持ってHPなどへ書き起こしをしなければとも考えているところです。
さて風の旅人は、最近休刊しましたが、バックナンバーが図書館にもあるかもしれません。すてきな雑誌ですので一度御覧ください。
浜田さんはすてきなブログを書かれていますのでぜひ読ませていただきたいと思います。
しばし冬旅の途中ですので、また本拠地に戻りましたらじっくり拝見しますね!
あらためてありがとうございます。
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