「アートのお仕事図鑑」美術手帖。アートやデザインの思考法は、広く求められている。
先日、TBSラジオ「ジェーン・スーの相談は踊る」を聞いていたら、リスナーからの相談メールで「美大か芸大に行きたいのですが芸術家以外にどんな仕事があるのか知りたいです」との質問があった。
そこに更に別のリスナーからメールが来て、おすすめされてた一冊。
アート、デザイン、キュレーション、エンジニアリングの境界線当たりの仕事についても掲載されてて面白かった。
昨今、アートやデザインの思考法が他の分野でも活用されはじめている。ビジネススクールで教えられているようなロジックや分析的なアプローチは、過去からの連続的な将来を改善するのに役立てたり、状況を整理し把握するには役立つ。しかし、新しい突飛な発想を生むには別の発想が必要である。だからこそ、ここ数年デザイン思考と言われたり、水平思考と呼ばれるような左脳だけではなく右脳的な要素を大切にしてものを考えることが推奨されてきている。
一方で、そうした頭と手の使い方はアートやデザインの世界では普通で、何を今更という感じだと思う。しかし、アーティスト、エンジニア、デザイナー、マーケターのような異なるバックグラウンドを持つプロフェッショナルがチームとして動くには、それぞれの持つ専門性や言葉を理解しながら協調していく必要がある。そういう意味では、当たり前にやられていることを、他の分野の人にも活かせるような言語化やフレームワーク化が必要ということで、ここ数年のデザイン思考の流行があるのかもしれない。
たとえば本書でも登場するライゾマティクスの真鍋さんは、もともとは数学に強くエンジニアでありながら、Parfumeのプロジェクションマッピングが話題になるなど、メディアやアートの世界と融合して面白い実験的な試みを多数世に出している。アートをするのに必ずしも美大や芸大を出る必要はないことは、一方で、美大や芸大を出ても活躍のフィールドは、芸術家以外にも無限に広がっていることがわかる。ただ、分野を超えていくには、学科や学校の枠組みを自分で乗り越えて外に出会いにいく必要はあるだろうと思う。
特集
アートのお仕事図鑑社会とアートのかかわり方が多様化しつつあるいま、
アートの仕事も無限に広がる可能性を秘めている。
本特集では様々なかたちでアートに携わる人々の
挑戦に焦点をあて、どんな働き方があるのか、
やりたい仕事に就くために必要なこととは何か、
そして、アートの仕事の魅力を明らかにしたい。
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