振り返り:離職後3年が過ぎて

公開日: : 最終更新日:2014/09/27 ゆく未知/考えごと , ,

2014年6月で前の仕事を辞めてからまるっと3年たった。区切りの振り返りと備忘録にとつけていた以前のブログを読み返していて、ひとつショックだったことは、以前の方が自分のメンタル面への掘り下げ方が深く、より赤裸々だったこと。匿名だったということもあるけれど、若さのなかでもがきながらも何かをつかもうという姿勢が読み取れて、今読んでいても気付かされることが多い。

ああ、自分はいい20代と30代前半を送ったのだなと素直に思える。それと同時に、ブログは自分のやりたいこととか、思いとかを記しながら考えていくアクティブなノートになっていた。書きながら考える、考えて書く、この繰り返しをすることは大切な思考と行動の昇華の要素。そう過去の自分から教えられて、またそのような感じで書きたい。

まずは、3年前何を考えて、新しい生活に入ったのか。今一度思い出してみたい。こんなこと書いていた。

Photo:中国・上海郊外の水郷, 2010。

抜粋開始******************

2011年05月04日のブログから

「最後の一ヶ月。はじまりまでの一ヶ月。」

けっこう慎重な決断をする方である。というより優柔不断で気持ちが変わりやすいので、重大な決定は気がするまで迷い続けることにしている。
Apple社CEOのJobsはスタンフォード大の卒業スピーチでこう述べている。”毎朝鏡の自分に向かって、仮に今日が人生最後の一日でも今日やる予定のこと(仕事)をしたいと思うだろうかと問いかける。
もしその答えが長い間”No”であるなら、そろそろ何かを変える時期である。”同じように自分に問いかけ続けてきた。多分一年近くは問いかけ続けた。その答えは多くのときはNoであったが、ときどきまあYesでもいいかなあというときがあった。しかし、ついに今年3月に今こそ変える時期であるという確信に至った。
確信を持って、5月31日で会社員を辞めることにした。
この4月で9年目の会社生活に突入した。日本を代表する世界企業の一つで働くことができたのは、幸運なことだった。はじめての面接のときに、ここで働いてみたいと感じた直感は正しかった。
ここでなければ出会えないユニークな人たちに出会うことができたし、幸運なことに、学んだ専門を生かして働くこともできた。当初の目標だった、科学的な方法論は会社で活きるかという点を存分に検証することだってできた。明らかになったのは、適切な言葉に置き換え、タイミングを合わせれば、かなり使えるということだ。田舎出身の自分にとって、この大企業での生活は恵まれ過ぎているほど快適だった。かなりの部分、自分の裁量で働くことができ生活も豊かだった。
上海勤務になってからは、新しい機能を組織に根付かせていくという挑戦をした。苦戦はしたが、まあ織り込み済みの苦労であった。第二外国語となる中国語を学ぶ期間をもらい、異文化で自分の中に今までにない感性を開花する機会を得た。この先の人生で、この巨大な中華圏で暮らしていくための基礎体力を得たのは代え難いGiftである。また海外生活のストレスを少しでも軽減させようと、日本では住まうことができないような広く贅沢な家に快適に住まわせてもらった。何一つ不自由のない暮らしが提供されていた。しかし、この挑戦の内容と安定した私生活に違和感を感じるようになった。傍目に見たら、順風満帆、将来安泰。でも、今はよくてもこの先予測される将来は、自分が望んだものではない気がしてならなかった
いくら物質的に満たされても、心から幸せかというといつも明確にNoだった。今の自分の成功が3~5年前の自分の努力によるものであるならば、次の数年の仕込みを今からしておく必要があると思った。

それは、自分の中にかねてよりあった問題意識にも原因がある。確かに、会社で働きはじめた時の動機は、学校で学んだことが社会で活用できるかという点であったが、学んだ目的は、別に会社で使うという狭義の意味だけではなかった。

メーカーで働いていたので、これまで商売の最後の形は製品であった。
マーケティングの立場で主にその製品やサービスをよりよくしていくための取り組みに関わってきた。だが、今度はこの製品の部分自体を自分で考えてみたいと思うようになった。活動のフィールドを再考する時期だ。それがどのような形に帰結するかはまだ試案段階だが、次の一年くらいをかけて具現化の目処をつける予定である。

もう少し抽象的な部分では、関心は常に社会の中で暮らす「人」にある。社会科学や行動科学への強い興味は、一人一人の意思決定の背景に潜む法則の存在への気づきによる。
一人一人は各自の決定をしているようでも、その背景にある制約条件の中でものごとを決めている場合が多い。現象をとらえながら、その背景を見る目を養うことは社会の現象を理解する近道だ。

僕はこれまでエンターテイメント企業で、マーケティングの文脈で
それを個人レベル、集団レベルのデータとして分析を通じて扱ってきた。
しかし、これからは「データ」だった対象とより深く向き合いながら、
柔軟な頭の使い方と新しい光の当て方を学び入れて進化させたいと思う。そんなことを考えるうちに、リスクを十分に知りながらなお飛び出す勇気が残った。一番高価な時間を向こう数年分買ったのだから、これからは自分の人生をもっともっと積極的に歩いていく。

恐らくこの先、組織にどれだけ守られて暮らしてきたかを嫌というほど味わうだろう。安定も信用も限りなく0になる。でも、誰にも奪えない無形の財が自分の中に残り続ける。

これは他人に与えられたものではなく、自分で選んだことだからこれからの責任は全部自分が負う覚悟がある。食べるものがなくなったら、家でご飯は食べさせてやると、父が言った。そうなる可能性だっていくらでもあるけど、どこにいたって不安はある。この贅沢を楽しんでいけるところまで進んでいく。

これからの一年は、まずはサバティカル(使途に制限がない職務を離れた長期休暇)として、いままでとは違った角度から地域や世界を見つめることに時間を使う予定。iカンパニーが自分の所属先。2.5-3年後の経済面での黒字化を目指す

海外生活を続けながら、決めたことは集中して取り組み、人生のドットを強い意思をこめてうつ。最後の一ヶ月、悔いのないように今の仕事と上海生活を全うする。

今の仕事が終わったら、徐々に新しい取り組みや生活を紹介していきます。たとえればジャンボジェットから自転車への乗り換えで弱小ですけど、大人の責任と子どもの好奇心を持ち続けてがんばります。いつもありがとうございます。これからもときどきのぞきにきてください。
********************抜粋終わり
読んでみるといくつか重要なキーワードを過去の自分から受け取ることができた。やっぱりやりたいこと、思っていることは言語化して、引き継いでいかないと忘れてしまう。

  • 「中華圏で暮らしていくための基礎体力」:休眠中。国境を接しているインドにいます。中国語、ほんとは寝かせておくのはもったいない。
  • 「この先予測される将来は、自分が望んだものではない気がしてならなかった」:この判断、間違ってないと今でも思う。でも、舵取り間違えたら、一年後に同じこと言ってる可能性もある。
  • 「物質的に満たされても、心から幸せかというといつも明確にNo」:心から幸せ、といえる状態というのはどのような状態においてもないのではないかとも思える。問題は物質的豊かさと精神的豊かさを分けすぎて考える事。両者は繋がっているものであることを実感。
  • 「今の自分の成功が3~5年前の自分の努力によるものであるならば、次の数年の仕込みを今からしておく必要があると思った。」:これ、勇気づけられる。ほんとに学校を卒業した今年はインプットをアウトプットに変えて大事な時期。もうこの人生のステージでインプット(学び)で満足するとかありえない。
  • 「今度は、この製品の部分自体を自分で考えてみたいと思うようになった」:プロトタイプが修了制作であるなら、それを作る(創る)のが今。
  • 「「データ」だった対象とより深く向き合いながら」:この発想はほんとに豊かになった。でも、もっと。
  • 「柔軟な頭の使い方と新しい光の当て方を学び入れて進化させたい」:ほんとに柔軟なのかどうかは、疑問だが、常に決め付けない事が重要。インドに来て思ったのは、事前にUKや日本でたてた計画は本質だけ残して大幅修正して問題なしということ。現場に一番ヒントが有る。
  • 「無形の財」:無形の財をどう見えるようにするか。
  • 「iカンパニーが自分の所属先。2.5-3年後の経済面での黒字化を目指す」:3年たちました。2014年みていてください。
  • 「決めたことは集中して取り組み、人生のドットを強い意思をこめてうつ」:「集中」できてるのか、ここを強く追い込まないといけないところ。
  • 「大人の責任と子どもの好奇心」:大人の責任ばかり頭に出てきて、好奇心とか遊ぶっていうのが薄れて、どこかで見たようなものばかり創るようだとだめだなと自分に思う。

自分が言ったことはしっかり振り返って見直していかないとね。最近、インドの暑さのこともあってか、ちょっと気合が足りないと思い書いてみました。

今後は、もう少し自分の行く道(未知)についても書きます。

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