Peacock Hill, Coffee Estate, Sri Lanka /スリランカの旧コーヒー産地を探索
公開日:
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最終更新日:2014/08/09
ロンドン芸大 / Uni Arts London, 写真学び / Photography study, 旅 / travel Course work, Photo project
スリランカといえば、セイロンティーが有名である。しかし、1864年1月にJonathanに描かれたコーヒープランテーションの風景画が示す通り、当時はコーヒーの有力な輸出国であった。当時、多くのコーヒーはイギリスに輸出され、ロンドンではコーヒーハウスと言われる社交場が栄えた。しかし、コーヒーさび病によりコーヒが枯れたのをきっかけに、紅茶栽培に政策転換されたという。調べによれば、コーヒーさび病はときおり起こる病気であり、深刻なものではあるが、世界で第三位と言われた輸出国のコーヒーの木を全部枯らすほどのインパクトはなかったのではないかと推測されている。おそらく、貿易の利益として紅茶の方が有利であり、政策転換が図られたのだと考えられる。
と、歴史的背景も興味深いが、この絵の場所を特定してみたいとスリランカに来てからずっと思っていた。今日は、タランガ氏にお願いして車を出してもらい1時間ほどかけて近隣の山へあがってもらった。同時に、Peacock Hillと言われる地域を聞き取りしながら走ってもらった。
幸い、Peacockという会社は健在で、今は大きな紅茶プランテーションを展開していた。そこには、Old PeacockとNew Peacockという区分けがあった。150年ほど前にコーヒーから紅茶へと転換した際に拡張されたものではないかという推論がたった。
プランテーションの管理者たちに尋ねておそらくここだろうという場所にたどり着くことができた。3週前には国立博物館の調査員たちが来たが、いまいちわからないまま帰ったという。
ポイントは、絵は写真ではないので100%同じはありえないし、すでに150年もの時間がたっていること。全くの天然ではなく、整理されている土地であるから、そのままの風景なわけはない。プランテーションに備わるインフラの位置、中央の山の形状が主に手がかりになると考えられた。
4枚目の写真の場所が、管理者と我々の考える当時の場所である。背景がモヤのためはっきりみえないが、中央の山の形状がかなり似ていること、後ろに広がる山も似ている。また、管理事務所や労働者たちの宿舎もこの辺りにまとまっており、Oldとつく土地も一致。
もっとも、今はコーヒーの木は道端に自生しているロブスタというネスカフェ用のおいしくない種別がちらほらあるだけ。茶畑ではタミル人の女性たちが働いる、典型的な茶農園である。
かつては、ここで採られたコーヒーが鉄道のあるガンポラまで送られ、更に列車でColomboへ行き、そこから船でイギリスへ向かった。
スリランカでコーヒー再生プロジェクトをおいかけながら、いつのまにかイギリスとの深いつながりが見えてきている。ロンドンに戻ったら、お茶文化が栄える前のコーヒーの輸入、コーヒーハウスについても調べてみたい。そこは知識人たちが議論し、新しい文化や起業、法律などの設立に大きな役割を果たす場だったという。嗜好品の多くは、その味わいを楽しむだけではなく、集う場をも作るから興味深い。
(This article will be translated into English in October)
Peacock Hill, Coffee Estate – Gampola in the distance
Lithograph by Jonathan Needham (fl.1850-1874) after Charles D.C O’Brien, of Peacock Hill Coffee Estate in Sri Lanka, dated 1st January 1864. This print forms plate 10 of ‘A series of fifteen Views of Ceylon illustrative of Sir J.E. Tennent’s work, from sketches made on the spot by Capt C. O’Brien, late Assistant Surveyor General, Ceylon’, London 1864. The text accompanying this image reads, “Our view is taken in the ‘Peacock Hill’ estate, the property of Baring, Brothers near Pusilawa. On the left is the superintendent’s bungalow; through the coffee are seen the stumps of the larger trees of the felled forest. In front of the stove are the drying grounds, on which the ‘parchment’ coffee is spread. The coolies are seen carrying their loads up the steps of the ‘pulping-house’, in which is the machinery, turned by a water-wheel; a little removed is the ‘clerihew’ stove, in which heated air is drawn through the parchment…In the right foreground is a dam, by which the water of a small stream may accumulate at night to work the machinery during the day. Over a belt of the standing forest is seen the town of Gampola…” The British began a plantation-based economy in Sri Lanka in the 1830s and their coffee experiment took off with resounding success. The booming coffee industry was ruined when a leaf disease spread through the plantations by the 1870s. The plantation owners looked for a substitute crop and found tea a suitable replacement.
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