旅を記録するという行為
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旅 / travel Life
少し長い旅をして日本に戻ってきた。次の大学院のコースが始まるまで4ヶ月も間が空いたため、インドをはじめいくつかの国を経由して日本に帰国した。せっかくの機会なので旅について書いておこうと考えた。直近の旅についていくつかのキーワードを書き出している時、なんだか今回の旅行だけを対象にするのは違う気がした。
日常を離れる形式的な「旅行」ではなく、精神的充実感を伴う「旅」についての振り返りをしておきたいと思った。
以前、「風の旅人」という雑誌の中に記されていた旅に関する文章がいつまでもこころに残っている。
「旅というのは、地理上の移動ではなく、あれこれと迷いながら、自分のまなざしでモノゴトをみつめ、自分なりの世界との付き合い方を体得していくプロセスのことだと思う」。[風の旅人、37号]
旅とは、ただ場所を移動して珍しいものごとを見聞するだけではない。視点や考え方に新しい風を吹き込む体験のことなのだ。
自分にとって旅をして本当によかったなあと心から思える瞬間は、自分の中に眠っている新しい視点や考えに気がつけたときである。確かに、未知の土地ではそういう機会が増えるともいえる。でも、いつも暮らしている中であっても、人のいつもとは違う一面に気がついたときやいつもと違う時間帯にいつもの場所に行くことで出会える風景によっても、そういった気づきは得られたりする。
そうであるならば、記していく紀行文は、「視点の変化」や「気づき」を含むもう少し長い期間が対象になる。 その対象は、オフィス中で考えていた時代からその外に出ていってからを含むであろう。明るい時間のほとんどをオフィスで過ごしていたとき、その外の世界で起きていることに思いを馳せていた。それは、東京のときもそうだったし、上海の町では更に強く思った。異なるところで新しい刺激を受けることによって、他への関心も広がって行った。
そのことに気がついてから、旅のキーワードを再度書きだしてマッピングしていくと、自分でも思わぬ広がりが得られた。特に、働きはじめてからの気づきというのはとても多い。それだけ20代と30代の貴重な時間と情熱を費やしたし、柔軟な発想力と行動力に富む優秀な人達に囲まれて育てられたということだと思う。各地で長い日常を過ごしたような気がするが、去った今思うと、それもひとつの旅だった。そうやって広義に旅を捉えて書いて行きたい。
しばらく日本に留まり、2013年1月から大学院のフォトジャーナリズム・ドキュメンタリ写真のコースで学ぶため渡英する。それまでは、なぜ一見異なる分野と思えるこの大学院へ進学を決めたのか、そこに至る途、これから構想、写真や映像などのビジュアル言語を使ったリサーチ、コミュニケーション、イギリスで学ぶ利点など周辺エリアを含みながら記していけたらと思う。コースがはじまったら、そちらも「気付き」を中心に書く予定。
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