EYEWITNESS at Royal Academy of Arts
公開日:
:
最終更新日:2014/08/06
UK, 写真学び / Photography study Exhibition
昨日あった学生のひとりに、どんな写真に興味があるの?と尋ねられたのでポートレイトやドキュメンタリーと答えました。
「なら、Hungarianいった?もうすぐ終わってしまうよ」とのこと。
それはRoyal Academy of Arts(英王立芸術院)という芸術学校で行われている写真展のことでした。
引用:Robert Capa http://www.royalacademy.org.uk/exhibitions/hungarian-photography/
EYEWITNESS(目撃者)というタイトルで、
かの有名なロバート・キャパを含む写真家たちの写真展です。
町中、美術館や写真展にあふれていて何から行こうかと思ってはいたのですが、このもっともみるべきものを思いっきり見逃していました。
なので、さっそく次の日の午前中に行くことにしました。RAは、ちょうど家から自転車で10分くらいのところでにあります。
入場料は学生なので7£(900円くらい)。ここの学校は英王立芸術院という邦名になりますが、独立組織だそうで多くの催しは有料になります。でも、7£なら安いものだと思います。
平日、午前中ですが、チケット販売には列ができていて会場も混雑とまではいかないけれど、かなりの人がいました。
作品は、第一次世界大戦の開戦戦後(1914年~)から第二次世界大戦の終了くらいまでの時代を記録したものが多かったです。ドキュメンタリーだけではなく、ピカソやムッソリーニやその当時の家族写真、商業写真もありました。
100年近く前からの写真ですので、モノクロの写真ばかりになります。
しかし、情報量はモノクロであることを感じさせませんでした。
モノクロの良さは、コントラストへの注力がよりなされていて、なおかつ情報量がカラーより絞られることで主題が迫ってくるように思えました。
(そういえば、日本人は漫画でモノクロ文化を今でも大切にしてますから、そのあたり親和性があるかもしれません)
この写真展は、かなりはまりました。
わりとさっさと見て回ってしまいがちなのですが、かなり多くの写真にじっくり惹きつけられました。また、写真の下にはキャプションがあるものも多く、その写真の時代背景や何が起こっていたのかを完結に説明していました。
さて、1時間以上じっくり見て回りましたが、正直、感動とともに疲れも感じました。
時代を取り巻いていた空気のようなものが伝わってきたことが原因だと思います。
共産主義社会での処刑のシーン、写真展のWEBトップにもなっていたこのブログにも画像を拝借したキャパの写真は、「死の瞬間」として狙撃された瞬間を捉えたものです。ノルマンディー作戦の兵士たち、ポーランドのゲットーなどなど大変重い歴史をとらえていました。
その視点が優れているあまり、見る側も体力を求められます。
ポートレイトは素敵だと改めて思いました。
人の顔や表情は時代を超えて思いを語りかけます。
今日、一番こころを揺さぶられたのは、切手くらいの小さな写真に飼い主に猫が立ち上がって見つめ合っている写真でした。100年も昔で、もう全部がチリになって飛んでいってしまったろうけど、記憶として存在し続ける愛情や関係性の瞬間が、そこには写されていました。
そういう気持ちは、確かにそこで生じていたものでしょうが、その後どこへいってしまうのだろうとしばし考えこんでしまいました。
昔、星野道夫さんが「旅をする木」というエッセー集で、「感動を伝える方法は、自分がその感動によって変わっていくことだ」と書かれています。
思いは形を変えて、同じ気持を受け取った人がまたほかの誰かへと、時代や場所を超えてリレーしていくんじゃないかと今は思います。
その感動を捉えて伝えていく力が、写真や文章にはあることを確かに感じた写真展でした。
ただ、家に帰ったらどっと疲れて少し仮眠をとりました。それだけ質が高かったんだと思います。
せっかく町中にこういう資産が溢れているので、こういう体験をどんどんしていきたいです。
PS
ロバート・キャパは捉えた瞬間もすごいけど、町の写真なんかを見ていると構図が絶妙。建物の上から帽子の男たちが群れる様子を撮ったものがりますが、まるで無数のリベットが規則正しく並んでいるように見えて美しかった。
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