アプリBrainPlotsは、いままでのブレストをどう進化させるか?
独立して働くには、アイデアのパス交換の相手をどうやって探すかは大切な課題です。
会社員時代は、まわりにチームメンバーがいますから、そういうことは日常的にできるのですが、私をはじめ個人で仕事を進める時間が多くなると、思考が硬直化してきます。コワーキングオフィスが増えている背景のひとつには、個人レベルで働く人が増え、ブレストパートナーを見つけられる環境という側面があると思います。しかし、アイデア出しをしたいタイミングでいつも最適な相手がいるわけではありません。
そんな働き方の変化や生産性の高いアイデア出しや打ち合わせの方法に着眼したのが、学生時代・会社の元同僚でもある河野さんが興したコグニティ株式会社です。以前から気になっていたので、帰国を機に訪問し、アイデア出し支援アプリBrainPlotsやDiscuss-Hereの紹介をしてもらいました。
河野さんによれば、BrainPlotsの特長は次の四点とのことです。
- 対案の必要性など、論点のフィードバックを自動的に得られる
- 論理的な欠陥が『見える化』される
- あなたの思考の傾向がレポートとして作成される
- あなたの思考パターンを他の人に共有することが出来る(*次回更新機能)
なにやら、複雑なアルゴリズムが背景で走っていそうな感じです。
百聞は一見にしかずですので、さっそく、個人向けのBrainPlotsで一テーマのアイデア出しをしてみることにしました。ちょうど、ポートフォリオ(作品集・実績集)をビジネスパーソンも持っていると便利じゃないかと考え始めていたので、それをテーマにしてやってみました。
ブレストを活性化する仕組み
一人ブレストをすることも多い最近ですが、不足しがちなのは他者の異なる視点からの意見と論理上の抜けや漏れです。これまでもフリーアプリFreeMindを使ったりしましたが、長続きしませんでした。一人で発散した後、他人と共創しづらいということと、アナログをデジタルにしただけだったからでしょう。やっぱり紙とペンに戻ってしまいました。
下の画像は、BrainPlotsを使ったブレスト画面です。この画面だけを見ていると、これまでのマインドマップアプリと同じようにも見えますが、実際使っていると新しい点があります。
それは端的にいえば、特長1と2の自動でフィードバックしてくれるという機能と、特長3の自分のアイデア出しの結果をデータで一覧化してくれる機能です。
特長1&2.アイデアや論理の抜け漏れフィードバック機能
自動フィードバックは、お手本となるアイデアの構造をモデル化して、それと照らしあわせてアイデアの根拠が足りてないところなどを指摘してくれるというものです。この機能はオンオフ可能です。
自分は、まずは自分の展開で考えたいので、それを邪魔されないようにこの機能は途中からオフにしました。一度終わってから、再びオンにすると、ワードのスペリングチェックみたいに使えて便利そうです。「根拠が足りてない」という指摘がポップアップで出てきます。
特長3.アイデア出しを科学する?!データでレビュー
私にとって一番ありがたかったのは、アイデア出しのデータを一覧化してくれることでした。これは、たとえれば、サッカー観戦のボール支配率やパス数、シュート数などと同じで、どれだけアイデア出しという試合が活発にクリエイティブに動いたかの反省材料になります。
たとえば、10分間あたりいくつアイデアが出ているかは、Average of Tags/ 10 mins.というところでわかるわけです。ファイルを開いたままにしていたので15時間36分もブレストしていたことになっていますが、実際は1時間程度で26個のアイデアが出ています。ということは、10分あたりに4個ほどです。
Average of Tab Priorityはアイデアの重要度で、アイデアのタグを大きくすると重要ということになります。私は、今回まだどの要素がより大切かはまだ決めていないので、平均値の8に近くなっています。もしたくさんアイデアを出しても、この数値が上がらないと、重要な気づきは得られなかったということの指標としても使えます。
Average of Tag’s connectionは、ひとつのアイデアからいくつのアイデアが更に膨らんだかという指標です。普通に考えれば、たくさん膨らんだ方がいいようにも思いますが、より重要なものが数個つくのがよいのでしょうね。
Most important Keywordsは、アイデア出しが終わった後に、結局何が大事だったのかを瞬時に知ることができます。
次のレポートは、アイデアの要素が満遍なく満たされているかという意味的なデータです。
アイデアとその根拠や事例がバランスよくついたブレストモデルを解析しているということで、そのモデルに照らし合わせて今回のアイデア出しが要素的に満たされているか定量的に把握可能です。
ただ、これらのデータが何を意味するのかは、蓄積して比較検証することになると思います。それは、サッカーの試合の統計とも似ていて、ボール支配率が高ければ勝てるのか、やパスがたくさん成功したら点が入るのかといえば、必ずしもそうは言えないのと同じです。
基本、加味と付箋を用意して大きなテーブルの上でわいわいやりながらのアイデア出しに親しんでいるし、実際の全身を使ってアイデアを表現するメリットは大きいです。一方で、このデータが自動で算出されるのはそれと同じくらい大切な要素かなとも思います。
そして、アイデアを議事録として発行する機能もついています。リアルな場でのブレストだと後でまとめて内容をシェアするのも、少し手間がかかりますが、これなら自動です。右側の特記事項を埋めていれば、よりわかりやすいですね。(私の案だしはまだ道半ば)
遠隔地にいる仲間とアイデア出しにも向いている
正直なところ、今のところブレストはカードや付箋を使ってやるの方が心地よいです。それは慣れの部分もあることでしょう。
しかしながら、たとえばインドにいるパートナーとオンラインでアイデア出しをする場合、Googleのスプレッドシートで代用するのはやりづらいと思っていました。
その点、このアプリは遠隔地と結んでやる複数人でブレストできる機能があります。オンライン上のミーティング室を100円で利用できるようなので試してみたいものです。Skypeで話しながら、iPadでこのアイデア出しはうまく機能することでしょう。
チームにおけるアイデア出しの傾向を科学する
一人ブレスト支援機能が充実していますが、チームでブレストしたときも、アイデアの出方の統計が見れたりしてチームづくりとかファシリテーションの改善に役立つのではとの印象を持ちました。相性や人数で、重要なアイデアが出やすくなるときとそうでないときなど傾向分析ができそうです。ファシリテーターにとっては、誰をメンバーに入れるかの判断をするときに使えるはずです。
今後の期待
まだリリースされたばかりなので、ラインコネクトなど操作性に改善が必要なところもあるのも事実ですが、アップデートでまもなく改善されるようなので更に期待です。
また、画像を並べながら、フォトストーリーの展開を相談したりできると編集の仕事する場合、違う用途でも使えるなと思いました。ビジュアルイメージは別画面で見ながらでもよいのですが、実際に机の上にあるように並べ替えられるとよりリアルな感性を反映できます。
グローバル化や個人レベルで遠隔地ともつながりながら働く人が増えている社会で、このようなアイデア出しを活性化するアプリの登場の使用頻度は増えていくことでしょう。近く、インドとも使ってみたいです。(そういう点では、PCとできたらほんとに最高)
ちなみに本アプリ、iPadを持っていれば、フリーで3ブレストまで使えます。
参考リンク
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