ロンドン芸大におけるクリティカルレポートとは?/What is a critical report in art school?

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11月25日は、修士過程の最終提出物のひとつ、「Critical Report」の提出期限だった。これは何かというと、作品づくりと平行して義務付けられている論文である。修士論文かといわれれば、それはちょっと違うのではないかとも思う。なぜなら、アカデミックなコースの最終成果物が修士論文だとすると、我々のクラフト&リサーチのコースは、写真集やギャラリー展示などがもっとも大切な成果物だからである。

そのため、アカデミックコースが15,000〜20,000字書くところ、本コースは5000字であり、内容も動機、計画、想定顧客、方法、理論、評価と、制作過程を記録し、吟味し、自己評価する内容。コースの成績評価の約20%ほどが割り当てられているとのこと。

ちょっといいカメラを買えば、だれでも綺麗に写真を撮れる現代において、写真を大学院で学ぶ意味とはなにか?それをここまでの学びと実践から答えるなら、小さな個人の気づきをリサーチによって得られる洞察に基づいた表現で、個人や社会に気づきや感動を適切なメディアに載せて伝えられるようになることかなと思う。

幸い、今のMA Photojournalism and Documentary Photographyの同級生の半分以上は他の専門分野を背景に持つため、その関心の持ち方やリサーチの方法は多種多様である。必ずしも、みながその背景を直接的に見せたりはしないが、思考の下敷きになっている点は興味深い。

クリティカルレポートについては、どのように立派な文章を書いたとしても、作品がつまらないとか、美しくなければどうしようもないと考えられがちではある。それでも、チューターは、「どれだけ作品がすごくても、このレポートを疎かにしたら、決してAの評価はつかないので覚えておくように」と最終学期の始めに言った。

そのとき、日本で学生の時に言われた言葉を思い出した。そのとき先生は、学士、修士、博士の研究の意義について分けてわかりやすくアドバイスしてくれた。

「修士課程とは、学んだ方法や理論、それを反映して現実世界のことを分析できるかどうか、その思考・分析の過程をテストしていくことだから、与えられた時間内で出来る限り丁寧にやりなさい」

仮にその場が、芸大になったとしても、それは同じなのかなとコース終盤の今そう思う。(ちなみに、博士については、「Ph.D(博士)は、Ph.Dを育てることができる」という意味深いものだった)

さて、自分が写真の大学院で最後に論文書くって言うけど、何を書いて出しているのか、昨年まで不思議に思っていたので、どんな内容を記したのかというのを少し記しておこうと思う。

Title: KOOPI CEYLONに関するクリティカルレポート

1. Background/プロジェクトの背景

1-1. Motivation/動機

1-2. History of coffee in Sri Lanka/スリランカコーヒーの歴史

2. Methodology and research/方法論とリサーチ

2-1 Project period/実施期間

2-2. Methodology/方法論

 -Documentary methodology/ドキュメンタリーの方法論

 -Influence/影響をうけた理論や作家

 -Field research methodology/フィールドリサーチの方法(参与観察)

2-3 Field research areas/フィールドリサーチ実施地域

2-4. Communication/コミュニケーションの方法

2-5. Equipment/使用した撮影・編集機器、アプリ

3. Editing/編集

3-1. Picture editing

3-2. Title/タイトルをどう決めたか

3-3. Typography/写真集にする際にタイポグラフィの選び方

3-4. Technical review/撮影技術の反省

4. Presentation/発表方法

4-1. Target audience/想定顧客・読者と発表メディア選択

4-2. Visual and verbal language/ビジュアルと文字情報の活用について

4-3. Publishing service selection/製本について

5. Evaluation/評価

-Subject/テーマ選び

-Plan/計画

-Methodology/方法論

-Shooting/撮影

-Presentation/発表方法

-Overall/総合

Bibliography/参考文献

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