Review 1st assignment / 振り返り 背景に気を配ろう
公開日:
:
最終更新日:2014/07/31
ロンドン芸大 / Uni Arts London, 写真学び / Photography study Course work
今回は、1回目の課題の振り返りをしてみたいです。
次のような制限事項がありました。
50mmか35mmレンズ(ズームレンズ禁止)/ No zoom lens
50mmレンズの単焦点を使用。50mm単焦点はズームが無いレンズですが、その分、足で距離を調整します。そのため運動量は多くなります。あと、狭い所では壁や机などに張り付くようにして少しでも広いエリアを移そうと必死になります。大変といえば、大変ですが、身体で距離感をつかめれば大体どのくらいまでなら撮影範囲に収まるか歩いている時にわかってきます。
白黒写真のみ / B&W only
カラーを排除することで、より構図と伝えたいものをいかに浮かび上がらせるかに集中できます。これはトレーニングにはいいです。特に、被写体と背景のコントラストに一番気を使います。カラーの場合は、多少コントラストがはっきりしていなくても、色の違いで区別できますが、白黒ではインパクトにかける写真になってしまいます。カラーは色で区別できるとはいえ、このトレーニングは、カラーでも活きるのではと思います。写真は情報量が多ければいいというものではないので、何を伝えたいのか色に惑わされず不レーニングする習慣は有益でしょう。
フラッシュ禁止。ISO400まで / No flash
ISOというのは、いかに暗いところでも光を敏感により多く捉えることができるかの基準です。昔はフィルムごとに決まっていて、これを変更することはフィルムを入れ替えることでした。最近のカメラは手元のダイアルで切り替えが簡単にできるのに加え、ISO10000以上とかどんどん機能と画質が向上しています。ほんの2〜3年前は800を超えたら画質が劣化が激しくて常用とはいえませんでした。
そうはいっても、1600くらいを超えたあたりから見ればわかるほどの画質低下は起きてきます。できるだけISOは低い値で画質を担保しておいた方が、後々その写真の美的価値を高めるには有利です。あと、フラッシュ禁止については、撮影場所の光の入り方について、敏感になること、よく観察することが重要です。フラッシュを多用すれば、その場のいつもの雰囲気は損なわれるわけで、できるだけそこで利用できる光を使うというのはドキュメンタリ写真のベースになるかなあと思います。
マニュアル露出 / M mode
これは、一眼レフのMモードを使って絞りとシャッター速度によって決める写真の美しさを決める重要な要素です。
一般的には、オートやAモードといわれる絞り値優先で撮られる方が多いでしょう。ただ、その場合、カメラが自動的に計算した結果になるため、暗いところでは光をよりたくさん確保するためにシャッター速度が遅くなります。動いているものであれば、ブレますし、自分の手振れにも影響を受けやすくなります。それを防ぐためには、シャッター速度は自分で決めないと、思ったように被写体は止まってくれません。あと、ゆっくりシャッターが動けばその分、光をたくさん受け止められますが、早ければ暗くなります。撮影環境の光量を考えなければなりません。
次に、絞りはレンズの中に何枚もの羽根が入っていて、それが閉じたり開いたりして光の加減を調整しています。オートだとこれもその場の明るさを基準に決められてしまいます。しかし、実際は、この絞りで被写体とその背景のボケ味が決まったり、シャープさが決まったりします。これをカメラに任せるとろくな事はありません。たとえば、二列に並んだ二人を撮る時に、手前はピントがきているのに、後ろはボケボケなんてことになります。
今回の撮影中、自分の中ではいくつかの基準を経験的に用意していて、いくら暗い環境でもシャッター速度20分の1より遅くはしませんでした。これをしたまわるとまず手振れします。激しく動いている被写体の場合は、この速度だと残像が映ります。
マニュアルフォーカス / No AF
高校の頃から写真部だったりする人は、マニュアルでピントをあわせるのは割りと普通のことです。しかし、これまでほとんどオートフォーカスに頼って自分で合わせたのは暗くてAFが働かないときくらいでした。だからこれが結構、緊張する。せっかくの瞬間を捉えてもピンぼけだったらどうしよう、と。ところが、チューター(指導教授)にレンズのメモリに書かれているピントがあう距離に関する知識を得てからは、おおよそでざっくり合わせて微調整すれば大丈夫になりました。
先生いわく、常にカメラを持ってピントを合わせて歩く練習をすることだそうだ。知識を得たら、身体を動かせ!とのこと。
トリミング禁止 / No crop
これはいい制限です。あとでトリミング修正すればいいやという前提は、フレーミングを雑にします。基本は自分が動くこと。動いて被写体と存在が呼応することだって、一つのコミュニケーションでしょう。
撮影の反省 / Feedback to my 1st assignment
7人1チームになって、担当教授と3時間に渡るチュートリアルがありました。チュートリアルは、イギリス教育の特徴で、担当教員との少人数教育になります。各自、100枚の写真を持参し、30枚、10枚と絞り込んでフォルダを用意します。時間的制約から10枚をまずは基準にしますが、どうしてこの10枚になったのか必要に応じて、30枚のフォルダに戻って過程を確認します。こういう編集過程が実は結構大切だったりします。自分で落としたのに、実は価値があるものだったり。編集者経験のある先生が、揃えたほうがいいバリエーションを指摘したりとあります。
フォードバックから
・ストレートなわかりやすさだけを追究するのも重要だが、そこにユニークさ、ユーモアを加えていく。表情のバリエーションを増やす。
中華のものはチャーハンのシーンは動きがあるが、ユニークさや表情の強さが足りない。つまりインパクトがよわい。おそらく、より長い観察によって更に面白い瞬間が隠れているはず。
・背景はよりシンプルに:背景に複雑なものがあると、被写体が霞む。これは、カメラのレンズが人間の眼に比べて、物事を正確に描写してしまうがゆえにおこること。人間の眼は、あいまいで見たいと思っているものにフォーカスが向かうが、写真だとそうはいかない。例えば、僕の中華料理の写真では、シェフが持っている調理器が後ろの鍋の取っ手と重なっているところがある。これなんかは、せっかく集中の瞬間が調理器の先端にあるのに、背景がじゃましてインパクトを落とす。
改善策は、背景をよりぼかすように絞りを開く。もしくは、ずれる瞬間を待って撮影する。動いて角度を変えて撮影するという方法が考えらる。
制限時間いっぱいなるべく違った角度から被写体を見る。そして、被写体だけに着眼するのではなく適した背景も探す。これは観察法を考えるときに重要です。
異なる角度とは、縦横高さの三次元空間をできるだけ多く、より被写体が魅力的に観察できるように移動すること。
そして、もう一次元は時間。流れる時間の中で、見られるものは当然変化します。事前にリサーチしてそのことがわかっていれば、時間を区切ってわけて観察する、別れなければ許されるだけ観察する。
たった1週間の課題ですが、技術的制限を加えられることで、学びがとても豊かでした。
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