見ること、見せることについて@東京藝術大学修了展

1月30日に藝大の修了展に行った。

多くの興味深い制作展示がある中、じっくり見られたものは限られたのだが、次のお二方の作品を興味深く拝見した。多くのいわゆる目立つ作品の中では、正攻法の作品だが、強く惹かれるものがあった。

一つは、油画のミレンコ・ステヴァノヴィッチさんの東京の町を描いたもの。

見慣れた東京の町を限られた情報量の中で、緻密に描いている。情報の多すぎる町の中で、本来のフォルムや陰影の美しさを感じた。

その場から中心となるメッセージを受け取って、どのように表現して伝えるのか、そのことを自分の課題として気づくきっかけをもらえた。

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もう一作品は、大場咲子さんの版画BOTAINU。版画を立体作品に応用している。

イギリスのアート教育と比べると、作品制作プロセスについての説明は控えめであるとの印象を日本では持つ。RCAの修了展には膨大なリサーチノートも展示されていたりする。

藝大でも、どちらかというと作品のみという展示が多いが、この展示は作品の制作プロセスを文字情報で語るのではなく、壁面に元の版画図も展示することで、平面から立体に起き上がっていく過程が想像された。また、精巧な手仕事と見る人を意識した展示位置がとてもよかった。

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僕の昨今の関心事は、平面の絵や写真をどのように見る人の心に響くように情報量を増やしすぎず、そして美しく伝えることができるかである。

これらの二作品は、見る力、見せる力のどちらにも制作者の深い洞察があるように思えた。

今年は、僕も再びリサーチと実験、創作を繰り返していきたいので、よいインスピレーションを得ることができた。

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