Summer term has started!/夏学期がはじまりました!
公開日:
:
最終更新日:2014/07/31
ロンドン芸大 / Uni Arts London, 写真学び / Photography study Course work
4月15日から夏学期が始まりました。約一ヶ月近く春休みがありましたが、実際は実技と理論のエッセイの課題がしっかり出ていたので気の抜けない期間でした。結局、すべてを提出し終えて開放されたと思ったのは新学期開始の1日前。(ヨルダン、スリランカにも課題を持参で行ってました)
今のコースは実際の出校日は多くはないものの、自立した課題制作や学習があるので、それなりに自問自答したり誰かに意見をもらったりと考える習慣はつきますね。座学や議論はそこそこにして、考えて出かけて調べて手を動かしてつくるというのが重視されています。
さて、今学期は大きく二つの単位を取得することとなります。
シラバスの情報だけだと抽象的であんまり情報がない中でスタートして、果たして何をするのやらと思っていたのですが、実際はじまってみるとこれはなかなか面白い。
1.Documentary Practice with Research[40] 400h リサーチ方法論に基づいたドキュメンタリー実技 〜通称「Re-thinkプロジェクト」
Aims(目的)
This unit aims to further develop the methodology learned in unit 1.1(Documentary practice in the spring term) and also to equip you with the analytical methods necessary to research and produce an extended photo essay or documentary project, whilst encouraging you to explore your own potential within the medium and to develop your own individual photographic vision. It will also examine the marketplace for photography, including the role played by agencies, and legal issues including copyright and privacy.
This unit challenges you to rethink your practice by experimenting with a new approach. The process and journey of exploration that is made is as important as the destination, i.e. the final product. In addition to the practice portfolio itself, you are required to evidence your explorations in a reflective way and to write a critical report as part of the final assessment.
いろいろ書いてありますが、要するには、これまでの方法を一度解体して、これまでやって来なかった新しい方法を試してみようという実験的なプロジェクトです。「Re-Think」プロジェクトと呼ばれています。
テーマ、使う機材、編集・表現方法などなど、実験することが奨励(必須)されます。自分の殻を破ってないと思われれば、容赦なく「安全地帯」から出ていない!と指摘されます。大判、中判、トイカメラ、iPhone、ピンホールカメラ、ビデオ、サウンドレコーダーなど機材だけでもいろいろありますが、いちばん重要なのはやっぱりテーマでしょう。テーマに応じて、必要なものと必要かわからないけど実験的に織り交ぜてみるというのが面白そう。
人間、大人になると少しずつ慣れてしまって自分の得意な方法や楽な方法を続けてしまう傾向があるのでそこを一旦出てみるのは大切です。僕は、この分野に来た事自体、人生のRe-Thinkな気はしますが、たぶん変に過去の経験が自分の発想を縛っていることも多いと感じる最近です。使えるものは使って、でも無理やり使うようなことはもうやめようと思います。
最終アウトプットは、作品のパッケージとその説明500字程度、試行錯誤の道筋説明1500字という3点セット。6月下旬までの約8週のプロジェクトとなります。
1月のコーススタートのときにもこの科目の内容をざっとこんな感じかなと書いてます。今は、より具体的になっていて、リサーチの方法論は、学術、芸術、ジャーナリズムにそれぞれ特徴があってそれぞれを融合するもよし、どれかに重点を置くもよし、対象に適切な方法を試行錯誤する過程自体を考え実践することに意味がありそうです。特定の方法に完全にのっかるのは、アートやドキュメンタリーでは面白くないので、一旦考えなおしてみたいものです。あと、自分の作品の市場価値や倫理的課題についても配慮せよとあるのがポイントですね。
2.Critical Perspectives on Photojournalism and Documentary Photography[20] 200h フォトジャーナリズム・ドキュメンタリー写真に関する批評と展望 2学期目
This unit will equip you with a theoretical and ethical framework with which to inform your practice. The resulting research assignment is designed to demonstrate your research skills and critical awareness of photography and related media within their larger cultural, political and economic contexts. It builds on the research and critical skills demonstrated previously in unit 1.2(History of Photojournalism and Documentary Photography), but incorporates the wider sphere of media in which photography operates, and emphasizes primary research and a variety of possible research ‘artefacts’ or outcomes as well as the traditional essay format. You will engage with appropriate research material in a focused and strategic way to carry out independent research and produce appropriate research outcomes.
このマスター・コースは、実技と理論がほぼ同じくらいの重みでここまで来ています。1が実技ならば、この2は理論や歴史面からフォトジャーナリズムやドキュメンタリーの分野でどのような問題やムーブメントがあり、それを実際にはどのような事象になって現代社会に現れてるかを調べて制作もしくは記述することが求められています。
昨年の事例だと、ベトナム戦争における報道写真の役割とその後への影響だとか、武器とそれによる被害の実像だとか、写真イメージの政治プロパガンダにおける役割などを扱ったそうです。
原則、大学内外のアーカイブ資料を二次的に利用することが義務付けられています。巨大な壁紙を作るもよし、映像でもよいし、本でもいいし伝統的なエッセイスタイルでもよいとのこと。
文学や地政学的なものとの絡めても面白いなと僕は考えてます。
ちょっとこの科目は自分の中でもまだ消化中でブレインストーミングの段階です。そろそろ絞込みをしていかなければですけれど。
これらの他には、マルチメディアでの作品づくりや瞑想に基づく撮影など特別講師によるクラスが毎週入るのでそちらも楽しみです。
今学期は先学期とは違い、テーマを自分で設定してリサーチと実践を繰り返しながらフィードバックを得ていくのでクリエイティビティがより問われるところです。
今学期も、思考や作品のプロセスをブログに記して、Re-Thinkの過程を晒して行きたいと思います・笑
Picture caption:
The “Philosopher’s Path” for me. I often walk and think about something along this river side. I only enjoyed to walk under the sunny blue sky. Today is a perfect spring day, but tomorrow may be winter again.
”哲学の道”と勝手に呼んでいるテムズ沿いの道。よく考えごとをしながら歩く。天気が気持よくて今日はただ歩いた。今日は春だったけど、明日はまた冬かもしれない。
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