インドの郊外型キャンパス構内に暮らすということ
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India
8月に入り、グジャラート州にも雨季がやってきて涼しくなりました。
45度前後から、いっきに25〜30度前後まで下がり、湿度90%以上という日が続いています。9月ごろまで続くそうです。ようやく活動できる季節になったということで、住まいの周辺についても感心が高まってきました。
その前に今更ながら、私が暮らすNID PGキャンパスとはどこにあるのか紹介してみようと思います。そもそもグジャラート州がインドのどこにあるのかから紹介が必要だと思います。
グジャラート州は、インドの西側です。州の最大の都市アーメダバード(人口635万人)があり、その北側に住まいがある州都ガンディナガルがあります。
グジャラート州の特記事項としては次の数点があります。
- 首相モディ氏を排出したばかり:モディ氏は前知事で、グジャラートモデルという経済発展モデル都市でもある。
- 禁酒法:外国人だけ数量限定で決まったところで買える。まあ酒は自分にとってそれほど大切じゃないのであまり気になりません。
- ベジタリアン中心:一応、冷凍チキンは探せば手に入るけれど。。。肉好きな自分としては一大事。
都会型と郊外型キャンパス
滞在先のNIDは、アーメダバードとガンディナガルの両方にあります。
メインのキャンパスは、アーメダバードにあり、新しくできた大学院専用のキャンパス(通称PGキャンパス)は郊外です。
私が暮らすPGキャンパスは、アーメダバードから約25キロ離れており、感覚的には慶應SFCや東京芸大の取手キャンパス的な存在でしょうか(いずれも経験者が言っていた)。鉄道でいえば、25キロくらいそれほど離れた距離ではないかと思っていましたが、車だとこれは大変です。双方のキャンパス間は、車で50分前後かかります。
アーメダバードからガンディナガルまでの道順をGoogleマップで示してみました。南側のアーメダバードは都会で、北側のガンディナガルは林と荒野が広がる田舎です。
キャンパス以外にまわりに特別な店も施設もなく、ぽつりと陸の孤島になっています。殆どの学生は、ガンディナガルキャンパスにやってきて最初の頃、あまりに何もなくてしかも45度を超える日続くためびっくりします。インド人ですらそうなのです、私も同じくらいびっくりしました。しかも、私がきた5月は夏休みで学生すらいなかった。。。
町をリサーチしに行こうと思っても、酷暑の25キロは特別な用事がなければいけません。結局は日中歩くのは命に関わりそうなので、学校内で過ごすことになりがちなのです。そんな地元の人ですら、外出を避ける季節にやってきた私は物好きなのでしょう。
アーメダバードのキャンパスは、活気ある町の中にある伝統のキャンパスで随所にデザインのにおいがする美しいキャンパスで私もお気に入りです。一方で、ガンディナガルは、陸の孤島。どちらのキャンパスで過ごすかというのは、学生の人生に大きな影響を及ぼすことでしょうね。
移動手段は?
双方のキャンパスは、学バスと職員用の車で繋がれていますが、鉄道はなく、あとはすし詰めのバスか酷暑時にはきついリキシャーです。
先日、会社員時代の先輩とデリーで会って、そのとき「車ないのか?」と言われましたが、駐在員でもなければ通常車なんてないです。でも、会社が駐在者にまっさきに車と運転手を手配する理由がいやというほどわかりました。インドは、車がないとかなり不便なのです。
NIDの学バスは、どれだけ暑くてもエアコンがついていないため、中はサウナ状態。走行中、ドアは開きっぱなしです。それでも、夏はリキシャーに乗るよりは楽。それにタダ。一日4便ほどあるようです。(タイムテーブルは結構頻繁に変わる)
これが一番贅沢な乗りもの。トヨタやシボレーの四輪駆動車が割り当てられています。GOVT OF INDIA(インド政府)と書かれていて、牛、トラック、リキシャーがごった返す道路を快走していきます。一番快適。それと、この車に乗るのは、基本、教員か外部のゲスト講師なので思わぬ出会いがあったりもします。先日も、タタ自動車のデザイナーが乗っていて話をすることができました。
三輪のオートリキシャー。小回りがきくし料金も割安だけれど、真夏は熱風で目が開けていられないほど。1時間乗るとついたときぐったりです。
ガンディナガル内は、道路は整備されていていいのですが、こんな感じで道路にこれといって特別なものはありません。ひたすら走り続けます。最寄りの小さな町までも2キロは離れています。ここには写っていませんが道の脇にはゴミが散乱しているので、歩くのはあまり快適ではありません。
また外国人がかなり少ないため、道を歩いていたりリキシャーに乗っているとがん見され続けます。とても不思議な気分。
NIDガンディナガルキャンパスの正門。写真デザイン、アパレル、オートモービル、ライフスタイルアクセサリーなど多くの大学院を中心としたコースがこちらにあります。アーメダバードと比べると、随分ひっそりとしています。実は、ほんとの正門はまだ完成していないため臨時だということがわかりましたが、すでに2008年からその状態だそうですからまだ先は長いかもしれません。
門番が何人も警備しているため部外者は基本入れません。
正門をくぐったところ。緑がきれいですが、これは水を撒くなど人工的な努力で維持されています。学内施設として、食堂と簡単なカフェテリアのような野外施設があります。チャイは一杯5ルピー、ベジタリアンクラブサンドイッチが25ルピーです。あと、画用紙などが買える小さな購買部があります。学生がものを買ったりできるのは学内においてはそれだけです。
郊外キャンパス特有の静かな環境があると思いきや、夜になると有り余ったエネルギーを放出する学生たちの大きな音楽や夜通し行われるクリケットの声がこだまします。酒もカフェもないストイックな環境です。それくらい健全と考えなければならないでしょう。
我々のキャンパスのメイン校舎。半分外のような校舎ですが、粗野でありながら迫力があって個人的には気に入っています。
左に見えるのが、図書館でその先にタタ自動車のナノが展示されています。オートモービルデザインの学科もあり、関係者がデザインしたとのことです。キャンパス完成図だと、この地面が芝生で張り巡らされて植物が生い茂っていましたが、まだ道半ばなようです。
学生と教職員の住まいも大学敷地内にあります。通常4〜5階建てです。ここは、私たちの場所。特別広く、エアコンも完備されているレアな存在。広さは1ベッドルーム、ダイニング、リビング、シャワー・トイレ付です。ちなみに我が家の仔猫は左の小さな穴から入り込みました。
その他の学生は、4階だてで男女別れた階層で各部屋2人の学生が暮らしています。
私は、週一回くらいアーメダバードのキャンパス、こちらに来てから一度デリーやムンバイへ出向く以外はこのキャンパスで暮らしています。
近くにある生活用品が買える小さな町はインフォシティといって2キロほどのところにあります。そこだけが頼り。不便といえば不便だし、最低限のものはあるといえばあるともいえます。こんな外国人が歩いているとジロジロ見られる場所にも、ナイキやSUBWAYは出店していることにむしろ驚きます。ソニーの看板を見ると勇気づけられたりもします。きっとムンバイやデリーといった大都会から来た学生も、名門NIDだから耐えられるけど辺鄙な場所で不便!と思っていることでしょう。
郊外型キャンパスの生活模様
最後に、大学構内に住むというのは、人間関係が濃い環境です。まさに同じ釜の飯を食いながら2.5年間の大学院生活を共に送ることになります。
私は大学構内に住まうのは、人生で二度目の経験です(一ヶ月程度の短期ならソウルとアナーバー@米国でもあるけれど)。前回は2009年に半年、華東師範大学という上海の大学に会社の派遣で住んでいました。ですが、さすが食文化の国だけあって学食が学内に五ヶ所もあったり、大都市上海の中心にあり、地下鉄の駅も近かったため、学内だけの生活という感じはしませんでした。また、総合大学だったこともあり、半年間で探索しきれないほどの大学施設もありました。
そういう意味では、今回は全部で100人前後の小さな規模のデザインスクールで、都市から隔離された場所です。日本のようにちょっと家を出たらコンビニがあっておやつを買うとかもできません。まあ不便といえば不便ですが、交通の便に比べたらそれほど大きな問題ではないかもしれません。やはり町や人の暮らしを調べるには、アクセスが重要です。あ、でも、学食のご飯がほとんど辛くて食べてすぐお腹を壊すのは問題です・・・。(レッドチリパウダーを私のお腹は受け付けません)あと、おいしい肉が手に入らないのも・・・。
一方でいいなと思う点は、キャンパスにいる学生、職員みんなが顔見知りです。守られているようなそんな安心感があります。
ただインドの学生には、日本人同様、先輩後輩関係が厳しいようで新入生を「ジュニア」、上級生を「シニア」と呼んだり少し面倒くさいこともあるようです。シニアがジュニアに課題を出すなんてことにも遭遇しました。ただ、大学院ともなると、社会人経験を長くした人もいるわけで単純に年功というわけにもいきませんよね。そんな学生たちが一同に暮らすキャンパスには、きっと学生ではない私には知ることのない数々のエピソードもあるはずです。そんなこと言っててても、自分個人としては、町で好き勝手やってるほうが好みだったりしますが。
いずれにせよ若い人たちが暮らすところにはエネルギーがあるし、これからここで学んで世界に出て行く人も出てくると思うと物質的には足りないものが多くても、希望というか勢いみたいなものはあるんだなと思います。
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