道具を持ち替えて目黒不動を撮る

公開日: : 最終更新日:2016/02/24 写真学び / Photography study

うちの近所には、江戸時代から不動参りで人気がある目黒不動尊がある。

絵師: 歌川広重/作品名:「江戸名所」 「目黒不動」 ©東京都立図書館

ぼくはここに2006年に引越から、不動尊にはときどき来ている。しばらく離れていたが、2014年に5年ぶりに再び近くに住まうことになって、以前とは場に対する意識より高まっていることを感じる。先日、とうとう本堂で護摩を焚いてもらいながら、座って般若心経を聞くこともできた。

2016年1月の下旬に、夜の東京から魅力的な場所を選んで撮影してみようという話をして、その結果、ひとつを目黒不動尊にした。

いつもの方法で

IMG_5724

パートナーは、4×5の大判カメラを使い、僕はCanon 5D m2を持って行った。僕のパートナーは、インドにいたときから、この大判を使って闇を撮影していたものだった。露光時間はときに30分や1時間に及ぶこともあり、それまでそういった撮影を経験したことがなかった僕には新鮮だった。そのやり方を見ていると、フィルムとデジタルの写真というものは、かなりその体験を変えていることを目の当たりにしていた。

そんなこともあって、アナログで、身体感覚をより研ぎすませてものを見るということがなんだか大切なことのように考え始めた、でも、今はデジタルのツールしかないので、まずはそれを持って行った。

28mmのズームレンズを使って、ISO200、F9、30秒の露光。都度、どんな写真が撮れているのか確認しながら1時間ほど撮影を繰り返した。

その時撮れた一枚がこの冒頭の写真。そのときは、クリアでなかなか綺麗に撮れていると思った。

フィルムに持ち替えて

img005-2-2

それから二週間ほど、アナログカメラのことを考えていて、前回のポストの通りHasselblad 500C/Mを購入した。(10年前なら僕のようなユーザーはほぼいなかっただろうすごいいいカメラ)

改めて、フィルムで同じ場所を撮影したものがこちら。

F11で3分の露光。レンズが異なるためデジタルとは違った距離感での撮影になったため、そもそもの構図が異なるが、なんだか随分違う印象を持つ。

その理由は、この写真だけではなくその過程自体がかなり異なるものだった。

被写体は、ずっと思い入れのある16世紀から参拝者が往来した目黒不動という、過去と現代の人々がともに大切に思っている場所であることは共通。

撮影中、ライトメーターをかざし光を測定する。

カメラを上から覗き込み、少し低い位置から対象を見る。露光させるためシャッターのレリーズボタンを押し、タイマーで時間を測る。

時間が来るまで対象のことをあれこれ見ては想像する。現像に出し、何枚かは紙焼きしてものとして対象を見る。

気に入ったものは、写真スキャナーで読み込む。画面で見ながら、Photoshopなどで微修正する。

一枚にかける時間を、それまでの僕は非効率だと考えてきたが、まわりに美術出身の人々が増えるにつれ描くことや作ることは時間がかかるし、身体をつかうということが実は大切なのだと思うようになった。

まあ、言葉では理由をいろいろ書ける。それでも、一枚目と二枚目を比べてみると、僕は二枚目の景色に直感的な愛着を感じてしまうのである。奥行き感というか色の厚みというか。

それは一次の思い込みによるバイアスかそれとも本質的な気づきなのか、引き続きリサーチとともに撮り続けてみたいと思う。

 

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