提出 Project three: ‘Forgotten’
公開日:
:
最終更新日:2014/07/31
ロンドン芸大 / Uni Arts London, 写真学び / Photography study Course work
Sony A900 with Tamron A09 28-74mm
Mode: Aperture P
ISO: 200
F: 8.0
Shutter Sp: 1/640
今回のプロジェクトは、ドイツ・ベルリンで取り組むことにしました。
冷戦時の検問所チェックポイント・チャーリーから少し歩いたところにある壁と”Topography of Terror”という写真博物館は、モノクロ写真で綴られたナチスドイツの歴史がいっぱいです。
ここでは、自国の誤ちをこれでもかというほど晒しています。
ヒトラー、ヒムラーをはじめとする親衛隊やゲシュタポ、そしてユダヤ人たちの姿が生々しく解説文とともに掲載されている。
多くの将校は若く、青春や青年期の情熱を窮乏していた国の将来にむけて捧げたのだと思いますが、その結末は悲惨なものでした。
ポーランドでも多くの博物館や記念館を回りましたが、自国兵が中心でドイツ兵はところどころ出てくるのみでした。ユダヤ人関連のところでは、ドイツ兵やポーランド兵の展示は少なく意外な気がしました。
ささっと瞬間で見終わってしまう写真がある一方、この写真展でもはやり一時間以上の時間をかけてみて回りました。
正直、みていてゾクゾクしました。自虐と言われようと、ドイツは徹底的に自国の負の歴史を晒しています。
白と黒のコントラストが描く写真には、色の情報こそ乏しいですが、時代の雰囲気がしっかり写し込まれていました。時代をつつんだ高揚感や虐殺された人々が死の直前に見せる諦めの表情や恐怖の瞬間が写し込まれています。
このような世界が祖父母の時代には現実にあったと思うと、それほど昔のことではなく、まだ経験者の肉声を聞くことだってできます。
ゲットーの壁でユダヤ人を隔離し絶滅収容所へ送り込むという政策がまかり通る時代の空気というものは信じられないけれど、ある条件のもとには可能になりうる、ということはしっかり覚えておく必要がある。
そんなことを思う一方で、雲ひとつない晴天に白と黒のコントラストがしっかり出ている壁を見ながら、美しさも感じていました。
この場所には、決して忘れ去ってはいけないという強いメッセージがあります。’忘却’に強く抗う、ということでこの写真を選び提出しました。
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