信頼できる口コミをどうやって得るか。インド・グジャラート州で獣医を探しながら考えたこと。

公開日: : 最終更新日:2016/02/02 リサーチ方法 / research method, 猫 / cat

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Dr. Chirag Dave, PETS’ CLINIC

インドで飼い始めた猫のやんまーは、先日はじめて獣医に行きました。(上の写真はやんまーの獣医さん)

生後三ヶ月が経過したと思われるので、インドでは重要な狂犬病の予防接種、ならびに今後の帰国検疫を見越して個体識別のマイクロチップの装着が必要です。

しかし、ここはインド。しかも住まいがあるのは郊外のガンディナガル、いったいどうやって腕の良い獣医を探せばいいのか途方に暮れていました。

まずはGoogle検索

まずはグーグルで検索してみました。キーワードは、”ガンディナガル 獣医”です。10キロ以内のガンディナガル内にいくつかと、30キロ離れたアーメダバードに複数でてきました。

しかし、大半の獣医はホームページを作っておらず、掲載されているのは電話番号と住所のみです。いくつかのサイトには、数年前に書かれたレビューが載っていますが、信頼できる情報なのか不明でした。

獣医を探すというのは、人間の医療機関でも同じですが、命にかかわる選択です。依頼する処置にもよりますが、とりあえず一回試してみて様子を見るか、とはなかなかしにくいです。

リアルな世界での口コミ

すぐにネットの情報に限界があることを知り、リアルな世界での口コミに頼ることにしました。口コミを探すにしても、誰に聞くかが大切です。そこでいくつかの条件を設けました。

【条件1】通院実績の有無

  • 実際に長期間かかっているか
  • 複数を比較検討した経験

一つ目にあげたのは、実際の利用した経験があるかどうかです。「評判がいいらしいよ」という、又聞きや噂レベルはできれば避けたいと思いました。次に、できれば、その利用者が複数の選択肢を比較検討した結果、その獣医にかかったというプロセスです。

【条件2】価値基準が似ている

  •  衛生基準
  • ペットの家族内での位置づけ

第二の条件は、口コミの主の価値観が、飼い主である私のそれに近いかどうかという点です。価値観をもう少し分解すると、衛生面、ペットの家族における位置づけです。日本で暮らしているとこの衛生基準が非常に高くなります。そんな価値基準でクリニックを評価できる基準を持つ方、またインドにおいてペットのプライオリティはまだ高くないと聞いているので、家族同様に大切にペットを飼っているという点も重要な点かと思いました。

【条件3】クリニックまでのアクセス:車で1時間以内

第三の条件は、そもそもそこまで行けるかどうかです。インドの交通事情はカオスです。猫をゲージに入れて運ぶ場合、外の音が直接聞こえるオートリキシャーは必要以上に驚かすことになるため向いていないでしょう。都度タクシーを雇っていくことになります。移動のストレスや経済性を考えると、一時間以内に到達できることが必須条件です。

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ゴールデンリトリバーを飼っているお屋敷に聞いてみよう

以上の三つの条件に当てはまる方が、はたして近辺にいるのだろうかと考えました。

周りにたくさんいるインドの大学院生たちは、学生寮でペットを飼えないので、獣医のいる場所はおおよそ知っていますが、上記で私があげた条件から外れます。お隣の都市アーメダバードには、日本人駐在員が数十名みえますが、ペットを飼っている人を今のところ知りません。

そこで頭に浮かんだのが、地元の名家の奥様です。私のパートナーが小学生と中学生の娘さんの家庭教師に行っているお屋敷には、二頭のゴールデンリトリバーがいると聞いていました。その奥様は、日本の出身で、アーメダバードの繊維業を営む名門一家出身の方と結婚された後、デザイナーとしてアーメダバードを拠点に世界中で仕事をされています。インドで飼われている犬の中では、かなり質の高い生活をしている稀有な存在でしょう。この方しかない、と思いました。

さっそく問い合わせてもらうと、快く二人の獣医を紹介してくれました。その中でも、猫を診てもらうのにより向いているとアドバイスをもらったDr. Chiragにアポをとりました。まだやんまーを運ぶキャリングケースがなかったこともあり、まずはDr. Chiragに猫を連れずに会いにいってきました。

一回目の訪問で確認したこと

PETS” CLINICと書かれたクリニックに入ると、第一印象は、「とてもきれい!」でした。こじんまりとしたクリニックですが、整理整頓、磨き上げられた器具や部屋がそこにはありました。

獣医師のDr Chiragも、とても誠実そうな印象でした。こちらも予め日本の検疫基準ややんまーの生い立ちなどを説明できるものを印刷して持って行き、お願いしたいことをクリアに伝えられるようにしました。

ドクターは、丁寧に説明してくれるので、ひとつひとつ納得することができました。

条件には入れていませんでしたが、ドクターのコミュニケーション能力や態度はとても大切な要素です。

やんまー初めての通院

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事前にドクターに会っていたことで、我々は安心してやんまーを見ていただくことができました。

そして、今週やんまーと共に再訪問しました。Amazonで注文したキャリングケースに入ったやんまーは、はじめての大学構外へのおでかけです。最初は不安そうに怯えていましたが、途中のタクシーでもクリニックでも泣き叫んだり暴れたりはしませんでした。

やんまーが怖がっている時には、落ち着くまでケースの中においてあげてくださいと、言ってくださり、我々も安心しました。

普段、暴れん坊のやんまーのことなので、暴れたときにどうやって保定しようか緊張して準備していましたが、ドクターが優しく接してくれたため、あっという間にマイクロチップと狂犬病の予防接種を終えることができました。少し拍子抜けするほど平穏でした。

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デリーから調達が必要だったマイクロチップの入手も迅速にしてもらうことができ、事前に提出していた日本の検疫に必要な書類もマーキングしながら目を通してくれており、とても心強かったです。また、ワクチンの副作用についても、丁寧に教えてくれました。

ドクターは、野良猫の場合は、実費しかとらないというポリシーで運営されており、かかった費用は狂犬病ワクチン50ルピー(85円)、マイクロチップ1000ルピー(1,700円)のみでした。相談料や診療費も請求されません。

狂犬病のワクチンは、政府の補助もあって安いのは知っていましたが、とても良心的に診てもらえたうえに費用もそれほどかからずこちらが驚いたほどです。更に、虫下し用の薬も無料で処方してくれました。

まだこれから、二回目のワクチン、血液検査など必要になりますが、安心してお願いすることができます。

口コミの信頼性

今回、信頼できる口コミを探すという点では、奇跡的な縁が合ったからとも言えますが、三つの条件を踏まえた上、ほんとうによい出会いをすることができました。日々の生活では、AmazonやTripadvisorで商品やサービスの評価を調べて購入したりします。たくさんのサンプルが集まっている場合や認定されたレビューアーのものの場合、信頼性は高くなっていくでしょうがリアルな世界では知らない人の意見です。

今回、インドで獣医を探しでは、ネットではなくリアルな世界で一対一の人間関係の中で、口コミを探しました。何かをその人に推薦するというのは、それなりに責任や信頼に影響があることです。信頼できる方のフィルターを通過した情報というのは、サンプル数は少なくても今回改めて尊いと実感しました。

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