インドで猫を飼いはじめました
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最終更新日:2014/12/11
猫 / cat
今回は少し趣を変えて、我が家の猫「やんまー」のことをお話したいと思います。
インド猫のやんまーは現在推定3ヶ月のオスです。
私がインドにやってきた5月に、46度を超す暑さと郊外キャンパスの孤立した暮らしに参り始めていた夜、突然バルコニーに現れたのでした。
我が家のバルコニーは、130cmくらいの高さの塀に囲まれているのですが、その下の方に仔猫が出入りすることが可能な穴がいくつか開いていました。そこをくぐってやって来たのでしょう。
生存競争
そのころのやんまーは、目は開いていましたが、手のひらに乗るほどの大きさでガリガリに痩せていていました。
よくこれほど過酷な時期に生まれてきたものです。親が近くにいるのかなと思いましたが、痩せている状況からあまり満足な栄養はとれていないと思い、はじめてやってきた夜9時ごろ牛乳とクッキーをあげました。ご飯をあげようとすると、小さな身体を精一杯大きく見せて「シャー」とうなりました。こんな仔猫でも、本能で敵に威嚇することはわかっているのでしょうか。威嚇しながらも、一生懸命食べました。あまりに小さくて、怖くありません。むしろかわいい。
次の夕方、気が付くと仔猫が3匹に増えていました。どうも、やんまーの他によく似たサイズの猫が二匹増えています。きっと大学構内で親猫が仔猫を数匹産んだのでしょう。仔猫同士、どこに旨いものがあるよとか情報交換しているとか?
三匹に、昨日の三倍の量のミルクとクッキーをあげました。しかし、やんまーが他の二匹に威嚇したり、頭や前足でブロックして食べられないようにして、自分だけさっさと他の猫の分まで食べてしまいました。
まるでオレが見つけたんだもんね−、と言っているようでした。頭に浮かんだのは、生存競争と言う言葉です。
その後、二日間くらい三匹がやってきました。
しかし、三日目に一匹来なくなり二匹になりました。親猫についていったのか、それとも暑く雨が降らないだけではなく、野猿、野良犬や他の猫たちの縄張り争いが激しく、過酷な生活環境だから命を落としたのかもしれません。そもそも仔猫たちがこれだけ飢えるということは、親猫だって命を落としたからなのかもしれないのです。
幸い、我が家のバルコニーには犬は入ってこれません。猿や大きな猫は塀を乗り越えて来られるでしょうが、大きな猫がバルコニーで寝ているのを見たことありますが、猿は遠方に見える木にいるだけでこちらには来ないようです。それに、バルコニーには屋根がついているので雨を防ぐことができます。これも縁だから、大きくなるまで少し手助けしてあげようと思いました。
そして、山猫のような斑点と瞳をしているので、最初に来たオスを「やんまー」、後から来たおとなしいメスを「みゃんまー」と名付けました。
向かって左がみゃんまー、右がやんまー。ときどき、ドアを開けておくと恐る恐る部屋を探検しては帰って行きました。
普段は、こうしてバルコニーで二匹仲良く寝ていました。ご飯を食べるときは、やんまーがはじめにガツガツ食べて、みゃんまーは遠くで様子を見ていてしばらくたったら食べにやってきました。やんまーは「にゃー」となき、みゃんまーは「きゅー」という独特のなき方だったのですぐ区別がつきました。
木の上に追い詰められた仔猫たち
6月初旬の夜11時ごろ、食卓から外を眺めていると家の前の木下に二頭の野犬がいました。黒と茶色の二頭でした。じっと木の上を監視しながらうろうろしています。
そのとき、直感的に木の上にいるのは、やんまーとみゃんまーじゃないかと思いました。猫は夜行性なので夕方以降は、出かけていてバルコニーには、二匹ともいません。
懐中電灯を持って、外に出て木の上を照らすと、案の定、二匹の猫が枝にへばり付いていました。高さは多分2.5mくらいでしょうか。
よく登れたものだと感心するのと同時に、野犬は猫を襲うのだと実感。まずは、犬にその場を離れてもらい(ライトで照らしたら逃げた)、呼びかけてみた。
やんまーは、私に向かって木の上から威勢よく「シャー」と威嚇すると、一目散に駆け下りてバルコニーに逃げ込んでいきました。
みゃんまーは、臆したのか、木上から一歩も動けません。
私にも届く高さではないし、登れるほど太い木でもなかったので遠巻きに見ている犬に注意してしばらく様子をみました。近づいたり離れたりする犬を牽制し続け、夜中の1時過ぎくらいに、やっと二匹ともバルコニーに戻ってきました。それを見て、安心して私は寝ました。
しかし、その夜戻ったはずのみゃんまーは、その後行方不明になりました。
もしかしたら、その後も不用意にバルコニーの外に出てしまい戻ってきた犬に捕まったのかもしれません。犬からしたら、仔猫を狩ることなどネズミを狩るよりも容易いことでしょう。それは憶測でしかありませんが、状況から考えるとその確率が一番高いだろうと思いました。
やんまーはうちの子?
朝起きると、やんまーがバルコニーでずっと鳴き続けていて、網戸の私の顔の高さまで登って「中に入れて」と言っているようです。いつもの空腹のときのなき方とは、全然違っていていつも一緒だった兄弟を呼んでいるような甲高い声で鳴き続けていました。さすがに不憫に思い、家の中に入れることにしました。
家の中に入れることは、飼うというになります。それには責任が伴います。
私がインドで暮らせる期間は制限がありますし、パートナーも1月には仕事を終えて帰国しなければなりません。でも、今、見離せば近い将来確実に死んでしまうだろうなと思うと、先のことを考えすぎるより、まずは少しでも長生きできるようにしてあげたいと思いました。
仔猫が出て行って一日くらいは戻ってこない日もあったので、少し待つことにしました。その日も次の日も一週間しても、みゃんまーは帰ってきませんでした。やんまーは、一週間は、家の中を探して鳴き続けました。でも、次第に人に慣れて以前のようにご飯をもらうときに威嚇することもなくなりましたし、近寄って膝の上に乗るようになりました。
仔猫は、体温が高くて、暑かったときは膝にいるとカイロを載せているようであり、涼しいモンスーンの時期は湯たんぽのように温かです。一匹になったやんまーは、それ以来外へ出ていこうとしません。一度、外の世界も大切だから遊んでおいでと出してみたら、網戸を登って中をずっと覗きながら鳴き続けていました。5分もたたずに部屋に戻って、それからずっと家の中にいます。
まさかインドで猫を飼うことになるなんて想像していなかったのですが、今はたくさんの潤いと引っかき傷を毎日もらっています。
やんまーがいなかったら、もっとインドの生活が辛く耐えられないと思っていたかもしれません。逆に、私は救われているのでしょう。
さて、こうして同居することになった猫のやんまーを通して、インドで直面しているペット事情についても、これから書いていきたいと思います。デリーやムンバイと違い、アーメダバードやガンディナガルでは猫砂はいうまでもなく、キャットフードの入手も簡単ではありません。そのあたりのことも、他の現地報告と合わせて記していこうと思います。
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