インド首相モディ氏、Twitterフォロワー820万人への発信とグローバル社会への影響力。Googleアドワーズで比較。

公開日: : 最終更新日:2014/08/28 リサーチ方法 / research method, 統計 / statistics

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インド最大の英字新聞The Times of India(8月27日)にモディ氏のTwitterフォロワー数に関する記事がありました。
現在、モディ氏個人のアカウントは590 万人にフォローされています首相公式も入れると820万人です。
モディ氏は、選挙戦から積極的にフェイスブックやツイッターなどのソーシャル・ネットワークを活用して露出を増やしていきました。もちろん、すでにグジャラート州を経済的に急成長させた手腕が認められていたため、ソーシャルメディアが当選の大きなファクターではないとは思いますが、圧倒的な勝利には一役買ったことでしょう。

世界のリーダーと比較しても影響力大

では、この820万人というのは、一体どれほどのインパクトなのでしょうか。
世界的他の首相や大統領と比較してみましょう。なお、データは、個人のアカウントと首相官邸やホワイトハウスなど組織としてのアカウントも含んでいます。

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Twitterフォロワー数 2014年8月27日現在

圧倒的なフォロワーを持つのは、アメリカ大統領のオバマ氏5,020万人(個人アカウントのみでも4,500万)です。この数字は別格。

イギリス首相キャメロン氏は350万人(個人76万人)、日本首相の安倍晋三氏は70万人(個人のみ36万人)です。ちなみに、日本の政治家でフォロワー数ナンバーワンは、大阪市長の橋下徹氏の120万人です。

さすがにオバマ氏ほどのフォロワーはないにしても、同じ英語圏のキャメロン氏に比べると圧倒的なフォロワー数です。ひとつ注意点としては、政治家のフォロワーには人数を多く見せるための架空フォロワーもいるとも言われています。

念のため、他の影響力指標もにておきます。

Kloutとは、米国サンフランシスコのKlout, Inc.が運営する、ソーシャルメディアにおけるユーザーの影響力の度合いを分析するサービスである。

KloutではTwitterのフォロワー数、リツイートされた回数、Facebookの「いいね!ボタン」といった、ソーシャルメディアのつながりとコミュニケーションを分析し、独自のスコア(Klout score)として評価する。スコアは1~100まであり、100が最も高い。 [IT辞書バイナリーより引用]

 

ソーシャルネットワーク上の影響力を表す指標Kloutでオバマ氏は99というので、やはりネット上でも影響力は抜群でしょう。モディ氏は89、安倍氏は72です。この数値は、50くらいが平均的なスコアですが、既に89もあるということは、ただフォロワーが多いだけでなくリツイートもされることが多く影響力が大きいことがわかります。

英語で発信するインパクト

モディ氏のツイートを見ると、ほぼ全てが英語でなされています。氏は、英語に堪能であるものの、国内の演説ではヒンディ語を使い、外国首脳との会談では通訳を通じて話すことが多いと言われていますが、ネット上での発信は英語になっています。

インドは、国会でも通訳が必要なほど言語が多様な国です。どの言語を使ったとしても、誰かが不自由するという環境なのです。

例えば、私が今いるグジャラート州にはグジャラティというローカル言語があります。学生のほとんどは他の州から来ていますから、全く理解不能になります。そういった意味では、私と同じ言語条件です。そのため、キャンパス内で違う州から来た学生たちは英語でコミュニケーションをすることが多いです。

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統計では、ヒンディ語話者が1億8000人、英語が最大で2億人程度と言われています。実際読み書き可能な人口は、更に少ないでしょうが、その条件はどの言語も同条件だとすると、海外への情報発信のメリットも考えてモディ氏は英語で発信しているのだと思われます。

そのおかげで、我々もインドのトップが発信する内容を読むことができるわけです。8月30日から訪日を控え、日本への発言も増えています。不思議と、ツイートを読んでいると親近感がわいてきますし、インドに対する距離もほんの少しだけ近くなったような気がします。これが、ヒンディであればまったく理解不能です。

モディ氏はどれだけ検索されているか。Googleアドワーズ✕言語。

実験までに、Googleが提供しているアドセンスのキーワードプランナーを使って、キーワードの検索回数も調べてみます。

これはある時期にどれだけ検索されたかキーワード別に統計を見ることができる便利なサービスです。つまりは、Google上でのニーズがわかるわけです。ここでたくさん検索されるワードは、人々が必要としている情報であると言ってよいと思います。

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英語でModiと検索されるボリューム

登録さえすれば、無料で活用可能です。これを元に、Googleは有料の広告掲載をどのようなキーワードで入れ込むとヒットしやすくなるか、参考として統計データを公開してくれているのです。

参考までに、モディ氏のことを調べるために何語で検索されているかのボリュームを調べみましょう。結果は、一ヶ月あたりの平均検索数です。期間は、直近一年。

日英キーワード比較

  • 英語「Modi」   36万8千回(選挙時122万回)
  • ヒンディ語「मोदी」 1万4千8百回(選挙時4万5百回)
  • 日本語「モディ」 2千9百回(選挙時5千4百回)

インドの首相「モディ」はどんな人?という検索では、圧倒的に英語での需要が大きいことがわかります。ヒンディ語の25倍程度検索されています。ちなみに、Goolge検索の5位以内にモディ氏のTwitterが表示されます。

単純な名前だけの検索結果ですが、これを検索者がモディ氏の情報発信にアクセスすると仮定すると英語は他の言語に比べ圧倒的に有利です。世界レベルでメッセージを届ける先を考えるならば、やはり英語を選んでツイートしたり、WEBで発信したりするのはデータで見ても圧倒的に理にかなっています。

次に、検索条件をひとつつけて国内外からの検索ニーズを比較してみます。参考までにアメリカのオバマ大統領と日本の安部首相の場合も実施してみます。

  • 「Modi」  インド国内:201,000(55%) 国外:167,000(45%)
  • 「オバマ」 米国内:450,000(45%) 国外:550,000(55%)
  • 「安倍晋三」 日本国内:110,000(100%) 国外:0(0%)

モディ氏の検索ボリュームは、55%が国内、45%が海外からと、国内外から同等の検索ニーズがあります。オバマ氏は海外からの検索が国内よりも多くなっています。安倍氏の場合は、日本語なので当然とはいえ、Gooleのツールでは国外からはほぼ0に等しいという結果になりました。オバマ氏やモディ氏のように国外の人が、ネット上で直に発言に触れる機会は少なくなるのは仕方ない現状です。

ただ、補足としてあげるならば、安部首相が世界から着目されていないかといえばそのようなことはなく、アベノミクスと言う言葉は、モディ氏の経済政策を指すモディノミクスやグジャラートモデルより検索数ニーズが高く、経済面での注目は依然高いとはいえます。ただし、そのほとんどは首相の言葉ではなく、他者の書いた評論記事です。

  • Modinomics 720
  • Gujarat model 1,300
  • アベノミクス 49,500
  • Abenomics 22,200

 

日本語と英語の情報発信の世界へのインパクト

フォロワー数、Klout、検索ニーズを見ると、モディ氏のTwitter活用は、オバマ大統領ほどではなくても、それに次ぐほどの大きなインパクトを持っています。

一方で、日本の安部首相は、フォロワー数自体も相対的には少ないですし、影響力という点でも日本語なので国内限定でしょう。

もっとも、これは誰に何を届けたいかという目的次第です。日本国民に伝えるべき情報に絞られているなら、それでいいのでしょう。逆に、英語で発信したら、国民に情報が届かなくなります。

ただそれでも思うのは、世界中の人々にメッセージを届けることができる英語発信の魅力です。

インドは南アジアにありながら英語が堪能な人口が多く、情報収集・発信という点では随分メリットが多い国です。

例えば、インドの一定水準の大学では、ほぼ全て英語で教育が行われています。そのため、世界中から英語の情報を使って、英語でアウトプット可能です。日本だと一般的に語学が苦手な人が多いと言われる芸術やデザインの分野でも、インドの大卒のデザイナーやアーティストは英語が堪能であることが普通です。私がいるNIDでも、英語圏からゲスト教授がやってきた際も、普段通りの授業に望むのと同じ言語でレクチャーやワークショップに参加することができます。

モディ氏のツイッターフォロワー数と英語での発信は、インドの国外への発信力を象徴しています。
国外への情報発信は、そのまま国の宣伝にもなりので、モディ氏だけでなくインド自体のブランド力をおし上げるのに有利なツールになるでしょう。

私も、モディ氏のTwitterをフォローしてから、そのつぶやきを読むようになっています。8月30日から訪日されので、日本の京都を訪れることや学生たちにも会うのを楽しみにしていると、いくつかメッセージを記載しています。そんな些細なつぶやきとの接触が、首相の印象、インドの印象を少しずつ変えていきます。

インド国内では既に絶大なカリスマ性を持つモディ氏が、直接語りかけるソーシャルメディアでより多くに届けられる言葉を使い、更にグローバル社会からの注目度もとても大きいでしょう。

 

参考

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